私は忘れっぽい。記憶力がない。

だから声は忘れてしまった。
どんな風に呼ばれていたかも。
幸い動画は残っているので、いつでも思い出すことはできます。(今はまだ見れないけど)

でも、手の感触は覚えているんです。
触った時の感触。
柔らかさや硬さ、皮膚感や毛質。
むしろこっちの方が、忘れたら二度と手に入らない。



時々エアーまーくんを触っています。

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車の運転をしている時、
助手席に座っているまーくんを想像して膝に手を当てたり


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寝ている時、
背中を向けて寝てるまーくんを想像して、背中を撫でてTシャツを掴んだり

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顔を撫でる感覚も、ヒゲに触る感覚も
眉毛も目も鼻筋も、全部目をつぶって触ることが出来る。

すね毛もお腹の肉も足の指も長い髪の毛も、全部覚えている。



空っぽになった隣を見て
幻のまーくんを映し出し
そっと触れています。



実体はないから強く触ると、ただ空気を切ってるだけになるので
柔らかくフンワリとそっと触ります。

触ることが出来るだけ。自分の記憶の中で。
向こうからのアクションはないので、
抱きしめられるとか、手を握るとかこちらが受け身になるものは出来ない。



もういない、
二度と見ることすらできない彼の姿を探して
透明なまーくんを触っています。


この手がいつまで覚えているかはわからない。
忘れないでほしい。

まーくんが生きていたことを
触れた時の温かさを
確かに隣にいたことを。
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頼るなら大切にしてあげよう。
手も、体も、髪まで使える。
何より入れ物がかわええ。

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