↑前回まで(死んだかもと知らせを受けた時)


夜の高速を走る。
冷静に。でも早く早く。

いかないで。いかないで。いかないで。

見に行った会社の人が脈を測るのが下手なんだ。
きっと、大丈夫。
病院で会える。
大丈夫。大丈夫。

…最悪、障害が残ってもいい。
おいていかないで。いやだいやだ。

電話がなる。
スピーカーにして出る。
「救急の人に来てもらいました。
代わります。」と会社の人。

「救急です。倒れてると連絡があり到着しました。心肺蘇生も試みましたが、固くなって来ており、病院にも運ぶ状態でもないので、、」
「あ、いや。いやだ。
…運べないのは分かってます。
それは承知で、病院に運んでください。」病院に行けば奇跡が起こるかもとワガママを言う。出来るだけ丁寧に無茶苦茶を言う。

「……運べる状態ではありませんので。
ここで…」
「いやだ。いや、いや…」
「死亡を確認させていただきます。」

「…とりあえず、すぐ帰ります」
動揺する気持ちを抑え、運転中だし、安全に迅速に、心を無にして車を走らせる。

嘘だ。嘘だ。嘘だ。
元気だったじゃん。元気だったじゃん。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。

家に着くと、とりあえず駐車スペースに適当に停め、恐る恐る玄関を開ける。
救急車は無かった。警察の自転車があった。

玄関で会社の人が待っていた。
深妙な面持ちで私に声をかける。
「私さん…」
「Mさん…お久しぶりです。何が…どうして…」
開いた玄関先のドアの向こう側にまーくんの足が見えた。
いつも寝てる場所。見慣れた風景。
部屋の奥を数人の警察官がウロウロしている。
動かない足…。

20171007

いやだ。見たくない。入れない。
ドアの前にうずくまった私にMさんが寄り添ってくれる。
震える私の手を握って、ずっとずっと一緒に居てくれた。

警察の人が色々調べてる。
病院以外の場所で、死んだ時の状況が不明だから不審死扱いらしい。
通帳やら、最後に会った時のことやら、
なんなら馴れ初めまで。それいるか?ってこともいっぱい聞かれた。
名前と生年月日は、何なら二回聞かれた。ちゃんと分かるようにメモれよ…
Mさんも、「それ、いま必要ですか?」と言ってくれた。
杓子定規。仕事。彼らにとってはただの事件現場。

遺体を運び出そうとするので、
「まーくんがしんだ  れんらくあとでする」と簡単な連絡を入れただけの、飛んでくる父が来るまで待ってもらう。

私が来た時に、足を触ろうとしたら「触らないで!」と言われたので、もういいか?と確認を取ってから触る。
ウチで寝ているまーくんは最後だから、このままウカウカして連れていかれる前に抱きしめようと中に入る。
顔を見ずに横に寝てみる。
冷たい。固くなった体…指先が黒ずみ始めていた。
命の入ってない体…

父が来るまで、横に寝ていた。
最後の添い寝。
まーくん。まーくん。

父が連絡したのか、まーくんの母と兄から電話がくる。
義母の「なんで。どうして。」の連続に、責められている気がした。
義兄の「大丈夫だから。大丈夫。」に救われた気がした。
ごめんなさい。ごめんなさい。

父が到着して、まーくんの顔を見て手を合わせ、泣いていた。
Mさんにお礼を言い、少し話して帰ってもらう。
しばらくしたら母も来た。
「こんなことって。。こんなことが。。」
3人で話したり泣いたりした後、
私は横になると言って寝室に入った。

いつもの寝室。さっきまで寝てたかのようなベッド。
彼だけがいない場所。
匂いが残ってる。
この先の真っ暗闇と行き場のない感情で寝ながら壁をガンガン蹴る。
その音を聞いた両親が泣いていた。

なんで。なんで。なんで。
いやだ。いやだ。いやだ。

それでも朝は明けてくる。


↓続きます。
 応援をどうぞ!さあ!

ランキングに参加しています。 
クリックしてもらえるとランキングが上がっちゃって
更新と生きる励みになります。
  にほんブログ村 家族ブログ 死別へ 

↓更新すると通知が届きますよ。 line_sab_serihu_20171107_mini
line_sab_20171107_mini

『せせらぎ通信』はいかが?

サイドブログを立ち上げております。
癒された曲や、手続きの話など
死別時に役に立てたらいいなという情報やらを書いています。(情報サイトです。)

seseragitsushin_title


文字多めで難しい話もありますがイラストも描いています。
わかりやすく説明している。つ・も・り。
よろしかったらのぞいて見てください。